油彩画修復:充填整形(09)
- Mamiko Asakawa
- 2023年3月30日
- 読了時間: 2分
キャンバスを新調した木枠に無事張り込みました。
次は、絵具の欠損部分に充填材を入れてマチエールを整える、充填整形の工程です。
充填材をつくる
今回の修復では、膠水溶液と石膏を混ぜて作った充填材を使用しました。この充填材の膠水溶液と石膏の割合は、絶妙なのです。膠水溶液が入った容器に石膏を振り入れて作りますが、多すぎても少なすぎてもいけません。そして気泡が入らないように気をつけます。ちょうどいい硬さは、何回も自分で作ってみないと、なかなか判断が難しいものです。
充填材を充填した後に、表面を整形
次に、充填材を絵具の欠損部分に充填します。(写真の白い部分は、石膏充填材を入れた箇所です。)充填材を入れただけだと、絵具層の表面の高さやテクスチャーが全く違うため、充填箇所の表面を整形する必要があり、周辺の絵具層の風合い、またキャンバスの布目の感じを読み取って充填材の表面を整えます。


充填整形のあとは、補彩絵具で色を合わせるので、どこに充填材をいれたかがわからなくなってしまいます。そうなる前に、高精細カメラで撮影し記録します。このような情報は報告書に掲載し、未来の修復家が再修復をするときのための、大事な資料として作品とともに大事に保管されます。
修復作業も後半戦に入ってきた感じです!
このあとも作品はますます美しさを取り戻していきます。お楽しみに!!
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