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油彩画修復:木枠張り込み(08)

画面の汚れをスッキリ取り除き、いよいよ新調した木枠に張り込んでいきます。このとき2022年はウッドショックにより木枠を入手するのに3ヶ月もかかりましたが、作業を進めることができる喜びを噛み締めながら再開です!


修復工程:張り代補強

作品の四辺は、過酷な環境で保管されたことによる劣化、また経年劣化のために脆弱化し、木枠に張り込む際に十分に引っ張るための強度と長さが足りませんでした。そのため、キャンバスと同じ素材の麻布を四辺に接着し、張り代を補強しました。

この際使用した接着剤は、BEVAと言われるホットメルト型接着シートです。保存修復では必要な概念の「可逆性」のある接着剤の一つで、油彩画修復ではよく使用されています。

油彩画修復 BEVAで張り代補強
麻布を作品四辺にBEVAで接着

作品と麻布が重なる箇所は、厚みが出過ぎないように、麻布の縦糸または緯糸を抜き取り、さらに繊維を削りとり、フサフサの毛足をつくります。その薄くなった毛足の部分にBEVAで接着をします。


修復工程:木枠への張り込み

十分に引っ張ることができる張り代を接着したら、次の工程です。ステンレス製のタッカーで、均一にテンションがかかるように固定する順番を調整しながら張り込みます。引っ張りが強すぎず、弱すぎず、上手に張り込めるようになるまで、何度も練習をしました。

油彩画修復 木枠への張り込み
木枠への張り込み

ちなみにこの黒い「張り機」は、アドバイザーであり私たちの師匠である木島隆康氏が、art.uの開業記念としてプレゼントしてくださった大事なものです!フランス製で、テンションのかけ方やバランスの保ち方が絶妙で、とっても使いやすい張り機です!

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