キャンバスの頑固な変形を平らにし、次は表面の絵具層に堆積した汚れを除去する、「画面洗浄」です。
修復工程:画面洗浄
修復工程:浮き上がり接着で膠水溶液を用いて浮き上がり接着を終え、表面に残った膠を取り除くのと同時に汚れも除去しました。ここでは、取りきれていない汚れを丁寧に確認しながら、改めて精製水と綿棒、または竹串に脱脂綿を巻きつけたもので、絵具層の細かなマチエールを傷つけないように洗浄を進めました。
汚れの種類によっては、一度洗浄が終了したと思っても、時間を置いてもう一度確認すると、汚れが染み出してくることもあります。常に目を光らせて、作品の細かな変化に気づくことが求められます。
こんなにも綿棒に汚れが付着しました!
画面洗浄は、SNSでたくさん動画が配信されていますね。見ていてとても気持ちがよく、修復関係のSNSではとても人気のあるコンテンツの一つだと思います。しかし、作業が簡単に見えてしまうという側面もあり、修復家が神経を使って作業をしている雰囲気が、もっと伝わればいいなぁ、と思うこともあります。洗浄に使用する溶剤は、油彩画修復:修復前撮影と状態調査(02) でも記したように、耐溶剤テストや状態調査を経て選定し、慎重に作業を行なっています。もし「絵画が汚れているなぁ」と思った時は、ご自身で挑戦するよりも、ぜひ専門家にご相談くださいね!
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