作品の状態調査を終えたら、どのような修復工程が必要となるか計画を立てます。安全かつ効率的に修復作業を進めるためにも、全体の流れを確認します。
今回の作品は、様々な症状がみられたので、大変やりがいのある修復でした。せっかくなので、その工程をご紹介します!
修復工程:裏面清掃
まず、支持体(キャンバス)の裏面の汚れを取り除きます。この作品には、埃・中糞・虫の死骸・木の葉などが付着していました。キャンバスと木枠の間にもゴミが入り込んでいたため、解体して清掃をはじめました。
大きなゴミは手で取り除き、またミュージアムクリーナー(吸引力を調整できる掃除機)で吸い取りました。次に、裏面のキャンバスの目に詰まった細かなゴミは、ケミカルスポンジや刷毛を使って掻き出して清掃しました。
驚くほどのゴミの量で、中糞もいたるところにくっついていました。中糞は裏面にくっつくと茶色や黒いシミになりますし、おもて側の絵具にくっつくと、酸性物質が絵具を溶かして、シミに加えて絵具層に小さな穴を開けてしまう厄介者です。生きている虫がいる場合は、脱酸素による殺虫作業が必要になります。虫の被害だけではなく、西洋に比べて湿度が高い日本ではカビや微生物による影響も大きな課題です。
裏面をきちんと清掃すると、見違えるように綺麗になるのでとても気持ちのいい作業です!ゴミも汚れもスッキリ取り除いて、次の工程に進みます。
Comentarios