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Mamiko Asakawa

油彩画修復:補彩(10)

絵具の欠損部分への充填と整形が終了し、いよいよ補彩(色合わせ)の工程です。大きな欠損や1mmもない欠損など、必要な箇所全てに補彩を施します。


補彩絵具の種類

周囲の絵具と充填材の色味を合わせる補彩は、2段階に分けて2種類の絵具で補彩がなされます。

1回目は水彩絵具で補彩し、その後にダンマル樹脂を溶剤に溶かして作ったワニスを塗布します。これで、絵具層と2回目の補彩絵具との絶縁層を作ります。

そして2回目の補彩は、修復用の溶剤型アクリル絵具を用います。補彩が終わったら、ワニスをコンプレッサーで噴霧します。

このような手順を踏むのは、「可逆性」や「修復材料はオリジナルの素材よりもソフトでなければならない」などのルールがあるためです。これはまた別のブログにしてご紹介したいと思います!

一次補彩
一次補彩

薄茶色の部分は、一次補彩を施した箇所です。下塗り補彩、と呼ぶ時もあるのですが、この下塗りがあることで、次の補彩絵具の色味調整がぐんとやりやすくなります。とくに大きな欠損部分には、このような下塗り補彩の色味が重要だと感じます。


修復用の溶剤型アクリル絵具で補彩
修復用の溶剤型アクリル絵具で補彩

2回目の溶剤型アクリル絵具での補彩は、イーゼルに立てかけて、適切な照明を使用し、また様々な角度から色味を確認しながら行います。補彩は必要最低限を心がけます。1mm以下の点状の欠損部分にも細い筆で絵具を刺していくので、肩も凝りますし目も疲れます。でもゆっくりだけど着実に美しく変化していくこの作業は、私は大好きです!(緊張もしますが。。。)


補彩が終われば上記でもお話ししたワニスの噴霧です。次のブログではいよいよ最終工程です!!

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