

藤田 清孝《人物》修復
油彩, カンヴァス, 955×798mm, 制作年不詳
2022年1月-2022年12月 修復
画面全体が汚れ、画布のたわみや変形により絵具層の亀裂・剥落が多く発生していました。
亀裂・剥落箇所を接着し、画布の変形を修正し、新調した木枠に張り直しました。また、絵の具の欠損部分には補彩を行ない、仕上げに作品の表面を保護するワニスを噴霧しました。
修復処置により、油絵具の本来の色調を取り戻し、安全な状態で保存・鑑賞することができるようになりました。
01 作品調査

作品の状態の詳細を記録するために、作品と額を撮影をしました。損傷箇所を記録し、画面洗浄に用いる溶剤を選定するためのテストを実施しました。
02 裏面清掃

裏面の汚れ(埃・虫糞・虫の死骸・木の葉など)やを取り除きました。画布の目に詰まった細かい汚れや埃は、ケミカルスポンジを使って清掃しました。
03 浮き上がり接着

絵具層の亀裂や剥落に伴う浮き上がりに、膠を用い、電気ゴテで加温圧着しました。絵具層の凹凸が緩和され、亀裂が目立ちにくくなりました。
04 かけはぎ

カンヴァスが破れている箇所がありました。裏面から、カンヴァスの繊維と膠を用いて、画布の破れを閉じました。
05 木枠の取外し

画布を木枠から取り外しました。古い木枠は割れや変形が見られたため再利用は不可能と判断し、新調しました。
06 変形修正

クラフト紙を用い、四辺を徐々に引っ張りながら、強い変形を修正しました。その後の微調整はアイロンを用いました。画布が完全に平らになるまで繰り返しました。
07 画面洗浄

作品の表面には、汚れと埃が堆積していました。精製水と綿棒を用いて除去しました。
08 張り代の補強

画布の側面が短くカットされていました。脆弱化した画布の四辺に新しい麻布を足し、張込みができる状態にしました。
09 木枠への張込み

ステンレス製のタッカーで、新調した木枠に画布を固定しました。
10 充填整形

石膏充填材で絵具層の欠損部分を充填し、表面を整
形しました。充填箇所の凹凸を整えることで、オリジナルの部分との差異が目立たなくなります。
11 一次補彩

水彩絵具で充填箇所に補彩を施しました。色調を整えるとともに、画布への絶縁層の役割をします。
12 一次ワニス

仕上げ保祭の絶縁層として、ダンマルワニスを塗布しました。
13 仕上げ補彩

修復用のアクリル溶剤型補彩絵具を用い、欠損部・変色部・旧補彩・しみに補彩を施しました。
14 仕上 げワニス

ダンマルワニスをコンプレッサーで噴霧しました。ワニスは画面の表面を保護する役割があります。
修復前

2022年1月撮影
修復後

2022年12月撮影