

Willem Anthonie Van Deventer 《風景》修復
油彩, 板, 255×385mmm, 制作年不詳
19世紀にオランダで制作された油彩画です。板に描かれています。
古いワニスが黄化しているため、描画が見えにくくなっていました。黄化したワニス層を除去し、油絵具の本来の色調を取り戻すことを目的とした修復処置を行ないました。
また、紫外線蛍光撮影により、下辺部分に過去の補彩が施されていることが確認できました。この旧補彩は変色が進んでおり、周囲と色調が合っていないため、溶剤型アクリル補彩絵具で補彩を施し、周囲との色調を整えました。
額にも浮き上がりや欠損が確認されたため、浮き上がりの接着と、剥落部分の補彩を施しました。四隅に生じている隙間は充填・補彩し、安全に作品を鑑賞・移動できるように調整しました。
01 作品調査

作品の損傷状態を確 認するために、高精細デジタル写真および紫外線蛍光写真の撮影を行ないました。紫外線蛍光写真によると、下辺に黒く写っている箇所が確認できます。これは、旧修復による補彩が施されていることを意味します。
02 画面洗浄

作品の表面に埃や汚れが堆積していました。精製水と綿棒で除去しました。
03 ワニス除去

本作品は、ワニスが黄ばんでおり、作品本来の色が分かりにくくなっていました。黄化したワニスを、ミネラルスピリットで希釈したエタノールで除去しました。
写真上部が除去後の画面です。明るい青空が見えるようになりました。
04 一次ワニス

補彩前の絶縁層として、ダンマルワニスを刷毛で塗布し ました。
05 補彩

アクリル溶剤型補彩絵具を用い、変色部・旧補彩・しみに補彩を施しました。本作品は、亀裂の間に入り込んだ暗色の汚れがクリーニングで除去できなかったため、所有者と協議の上、亀裂の間にも補彩を施しました。亀裂が目立たなくなりました。
06 仕上げワニス

作品表面の保護を目的とし、ダンマルワニスをコンプレッサーで噴霧しました。ワニスは、表面の保護だけではなく、油絵具の艶を均一にし、作品を鑑賞しやすくするというメリットもあります。
07 額の清掃と調整

額の入れ子には絵具が固着していました。作品の表面を傷つけてしまう恐れがあったため、ヤスリで絵具を取り除きなめらかにしました。
表側の金メッキの部分に堆積した埃と汚れは、刷毛を用いて除去しました。
08 額装

入れ子の木材が直接作品表面に接触するため、緩衝のためにフェルトを貼り付けました。
また、作品が額中央に配置されるように、T 字平金具(緩衝材としてフェル トをはさんだもの)で固定しました。額裏面の左右辺に吊金具をとりつけました。
修復前(表面)

2022年6月 撮影
修復後(表面)

2022年12月撮影
修復前(裏面)

2022年6月撮影
修復後(裏面)

2022年12月撮影