

目白聖公会《聖母子像》修復
2021年5月-2022年3月 修復
石膏, 像高670 像奥197 像幅219mm, 制作年不詳
目白聖公会に安置される聖母子像は、昭和6年(1931年)にメドリン・フィリップス女史によりイギリスから日本国内に持ち込まれ、目白聖公会に寄贈された像です。
イエス像の首は損傷が激しく、使用された接着剤は経年劣化により変色し、また鼻先は欠損していました。マリア像の顔半分の彩色は失われ、青かったはずの衣は汚れと旧処置が混ざり合い、本来の色調がわからなくなっていました。
本修復では、これまで像が守られてきた歴史的経緯を重視しつつ、像本来の尊容回復を目指した修復を行いました。
01 作品調査

本修復は、保存彫刻を専門とする山田亜紀さんとの共同修復でした。それぞれの専門的知見を集約することで、丁寧な状態調査、また修復方針を立案することが可能となりました。
02 クリーニング

筆を用いた乾式クリーニングと精製水による湿式クリーニングを行い、目立つ汚れ を除去しました。
彩色は、精製水によるクリーニングで溶解するものとしないものがありました。溶解するものは旧処置による補彩で、経年による変色が進んでいる補彩は除去しました。
03 旧処置材の除去

イエス像の頭部・首は接着剤で固定され、剥落や欠損が目立っていました。また接着剤は黄色く変色し、損傷を際立たせていました。
保存彫刻の山田亜紀さんの丁寧な処置により、接着剤は除去され、再接着によるつなぎ目は整形されました。これにより、安全に処置を進めることが可能となり、また補彩に進むことができました。
04 補彩

クリーニングにより旧処置を除去した箇所、また損傷や劣化により周囲と色味が合わない箇所に、可逆性のある絵具で補彩を施しました。
今回の修復では、目白聖公会・保存彫刻の山田亜紀さん・art.u浅川で協議し、イギリスから慎重に持ち込まれ日本で大事にされてきたという、歴史的経緯を消し去らない処置を心がけました。
修復前

2021年5月撮影
修復後

2022年3月撮影